歯列矯正 東京の大きな魅力

米国の歯学部は4年制なので、4年制プラス1年制を付加して、ダブルライセンスを取れるような形にしてこうした問題を抜本的に改善しない限り、定員だけ増やしても、地域医療への高い志を持った医師の卵を安定的に確保することは不可能だと言わざるを得ない。
ケンタッキー大学では、21世紀の歯科医療をリードする有能な歯科医師を輩出するために、歯学部に「オーラル・フィジシャン」というプログラムを設けたという。 糖尿病や心疾患、がんなどの疾患を有するハイリスク患者の歯科医療をなし得る歯科医師を養成するものである。
ただし、このプログラムへの選抜では高い学力が要求され、毎年わずかな学生しか入学を許可されない。 一方、わが国の医学・歯学教育は、学校教育法に基づき6年間とされている。
6年間のうちはじめの約2年間は一般教養科目を学び、医学、歯学の専門教育は残りの約4年間で行う。 専門教育は、基礎医学科目、臨床医学科目および臨床実習から構成されているが、歯学教育カリキュラムは、基礎医学科目におけるかなりの部分が医学教育カリキュラムと共通である。
そこでこの特区では、厳しく選抜された優秀な歯科医師を対象として、2年間の医学教育プログラムの創設を提案した。 当プログラムの第一学年では、基礎医学のうち歯学カリキュラムに含まれていない部分と臨床医学を履修させ、第2学年では通常の医学部6年生と同様の臨床実習を行う。
本課程の修了者には医学士の称号と医師国家試験の受験資格を付与しようとするものである。 第3次の構造改革特区では、麻酔科医が不足しているので、歯科麻酔医だけでも実施してはどうかと提案したが、誰にも支持されず消え去った。
その後、三井記念病院(東京都千代田区)で、2006年10月、70代の男性患者が研修中の歯科医から麻酔を受けた直後に心肺停止になる医療事故が起こる。 都や病院によると、研修に来ていた日本大学歯学部所属の歯科医が、腎臓病に伴う外科手術で患者に全身麻酔薬を注入。

男性は直後に心肺停止となり、意識が戻らないまま2カ月後の06年末に心筋梗塞で死亡した。 容体が急変した際、指導医は立ち会っておらず、歯科医が麻酔を実施することについて事前の同意も取っていなかったという。
のちに、同病院は歯科医の麻酔研修の際、指導医が恒常的に監督を怠るなど厚労省のガイドラインに違反していたことが判明、都が07年6月に改善指導している。 筆者の特区提案にとっては逆風となる大変ショッキングな出来事だが、考えてみればこの事例は、歯科医師が水面下では一般患者に全身麻酔をかけていることを明らかにしたものだった。
医師か歯科医師の区別がつかない患者にとってはたまったものではない。 むしろこの医療事故を契機に麻酔医の現状を調査し、そのあり方を再確認してはどうか。
日本はなかなか「構造改革」ができない国だが、もし緊急避難的に医学部の増員が必要だと言うのなら、中国にいる日本人医学留学生に国内で医師国家試験を受けるチャンスを与えてはどうだろう。 筆者が独自に調査しただけでも、北京大学に40人、中国医科大学に30人、上海交通大学に10人、復旦大学に10人、大連医科大学に6人の日本人学生がいる。
何らかの事情で中国の医学部を志したものだが、大半は日本で医師になると夢見ているという。 中国全土に186(05年)の医科大学があるので、国家教育委員会か衛生部に照会すれば全数が把握できるし、急場は凌げるのではないか。
わが国の医学部および大学病院をめぐる大きな変化は、新臨床研修制度のスタートに加えて次の2つだ。 一つは、国立大学が2004年4月から非公務員型の独立行政法人(国立大学法人)に移行したことである。
これによって全国に42ある医学部附属病院も、効率的なマネジメント(経営管理)が求められることになった。 国立大学法人の収入規模は、07年度予算額で2兆1967億円。
その内訳を見ると、国からの運営費交付金が1兆2044億円、病院収入が6219億円、授業料及び入学検定料21567億円、雑収入が137億円で、国庫負担が54・8%と全収入の半分以上を占める。 私立大学に対する経常費補助金を全部足しても3280億円にしかならないことを考えると、国立大学は依然として資金面で優遇されていると言える。

そうした中で文部科学省は、政府のいわゆる「骨太の方針」を受けて、大学の教育研究費については1%カット、運営交付金を受ける国立大学病院については05年度以降、「経営改善係数」2%を課すとした。 つまり、病院の収入がコスト(人件費などの「一般診療経費」と、病棟建設費など借金の返済額である「債務償還経費」の合計)を上回らない場合は、国庫負担から病院収入の2%を減らされるのだ。
診療行為には、当然医薬品や診療材料も必要になるので、2%を04年度の平均材料費率0・3754を用いて割り戻すと、それでは現実はどうだろうか。 文部科学省が作成した04年度の「国立大学附属病院運営改善のためのデータ集」を用いて、医業収支率(医業収入を医業費用で割った数字。
実質的には3・2%の収入増がなければ現行の医療水準が確保できなくなる。 さらに、文部科学省は各国立大学法人に対し、経営の中期目標・中期計画の策定を義務付け、毎年その進捗状況を届け出ることを求めている。
中期目標とは基本理念や長期的な目標を実現するための一つのステップで、一定期間内の達成目標をいう。 同省は04年度から09年度までの6年間を定期間」としている。
これに対して、中期計画とは中期目標を実現するための具体的な計画である。 同期間中は、病院収入がコスト(一般診療経費十債務償還経費)を上回らない場合、経営改善係数は累積されることになっている。
そして経営改善係数が累計して大きくなればなるほど、国庫負担は減らされていくのだ。 「一定期間」中に毎年収入がコストを下回れば、09年度には、経営改善係数は2%×5年で10%にも及ぶ。
05年の病院収入は全体で6062億円だったので、5年後には約600億円の補助金が減らされる計算だ。 一方で、付属病院収入がコストを上回った場合は、黒字に当たる超過分を、法人自由裁量経費として使用することが可能になる。
国立大学病院をランキングすると、トップは筑波大学の120・7%。 次いで105・9%の香川大学が続く。
といっても、この2大学以外はすべて100%を下回っており、国立大学病院は「赤字基調」にある。 依然として大学病院の台所事情は厳しいのだ。

そして第2の危機は、小泉内閣の下で一貫して行われた診療報酬の引き下げである。 特に、2003年4月から導入された医療機関別包括評価はインパクトが大きかった。
これは、当初、大学病院等の特定機能病院にのみ導入された支払い方式で、疾患別に一定の金額しか支払わないという診療報酬制度である。 つまり、個々の検査や診療に要した費用で報酬が決まる、いわゆる「出来高払い」とは異なり、疾病ごとに額が定まっているのである。
なお、04年度からは一般病院にもDPCが拡大している。 この支払い方式を導入する病院は年々増加し、その影響力は大きい。

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